通常、「手数料無料」と聞けば、それがベストだと判断すると思います。
特に優待クロスをする場合では、手数料とか金利手数料は極力抑えるようにするはずです。
でも、実はあえて「信用買い+現引き」を行い、少額の手数料(金利)を発生させたほうが、最終的な手残りが増えるという意外なテクニックが存在します。
結論から言うと節税になります。
今回は、その「節税」の仕組みを解説します。
あえて「無料」を捨てる!?株売買で節税する裏ワザ
「株主優待クロス(つなぎ売り)は、手数料をいかに削るかが勝負!」
そう思っている方にこそ読んでいただきたいのが、今回の「逆転の発想」です。
特に株数の多い銘柄、例えば、ビックカメラ(3048)の1,000株優待クロスを狙う際、現物株を「手数料無料」で買い付けるのは実は損で、信用買い+現引きをしたほうが得かもしれません。
なぜ、わざわざ「信用買い」をして「現引き」という手間をかけ、金利(コスト)を払うほうが得になるのか? その「節税」のカラクリを徹底解説します。
1. はじめに:優待クロスと「コスト」の関係
優待クロスは、株価変動のリスクを抑えて優待品を手に入れる非常に賢い手法です。
その唯一の敵が「コスト」。
- 売買手数料
- 貸株料
- 配当金相当額の支払い
- 逆日歩
これらを差し引いた上で、優待価値が上回れば成功です。
2. 優待クロスの手数料:通常は「無料」が正解?
現物株の買付手数料は無料の証券会社が結構有ります。
完全無料だったり、売買代金100万円まで無料など、証券会社により異なります。「無料なら迷わず現物買い!」と考えるのが普通ですよね。
しかし、例えばビックカメラ1,000株(投資金額 約160万円前後)という大きな単位では、「1円の差」が大きな利益を生む魔法の計算が発動します。
3. 実は「あえて手数料をかけたほうが得」な理由
結論から言うと、「信用買い+現引き」をすることで、取得価額(株を買った値段)を意図的に少しだけ押し上げ、将来の税金を減らすことができるからです。
なぜ取得価額が上がると得なのか? それは、「取得価額の端数切り上げルール」というのが有るからです。
税金計算の「魔法」:1円未満の切り上げ
日本の税法上、株の取得価額は以下のように計算され、1円未満が切り上げられます。
取得価額 = (約定代金 + 手数料 + 金利)÷ 株数(1円未満切り上げ)
例えば、ビックカメラ1,000株を1,600円で買ったとしましょう。
- 現物買い(手数料0円)の場合:1,600,000円 ÷ 1,000株 = 1,600円(取得価額)
- 信用買い+現引き(金利が発生)の場合:信用買いをして、1日分の金利(現在の金利だと130円)が発生したとします。(1,600,000円 + 130円)÷ 1,000株 = 1,600.13円ですが、ここで「切り上げルール」が発動し、取得価額は 1,601円 になります。
4. 驚きの節税効果:なぜ手残りが増えるのか?
わずか1円の差ですが、1,000株単位だと大きな違いになります。
| 項目 | 手数料0円の場合 | 信用買い+現引きの場合 |
| 取得価額(1株) | 1,600円 | 1,601円 |
| 総取得コスト(税務上) | 1,600,000円 | 1,601,000円 |
| 実際の支払額 | 1,600,000円 | 1,600,130円 |
後で株を売却(現渡し)する際、税務上の「取得コスト」が1,000円分高くカウントされます。つまり、実際に支払った金額は1,600,130円ですが、税務上は1,601,000円とみなされ、「870円分よけいに損をした」とみなされるのです。
実際のキャッシュフロー計算
1,000円の「みなし損失」が発生すると、その分にかかる税金(約20.315%)が還付されます。
- 還付される税金: 1,000円 × 20.315% = 203円
- 支払った金利: 130円
- 最終的な利益: 203円 - 130円 = +73円のお得!
手数料(金利)を130円払うことで、税金が73円戻ってくる。これが、「手数料を払ったほうが得になる」正体です。
5. おわりに
「無料」という言葉は魅力的ですが、投資の世界では「税金の仕組み」を知っている人が最も得をします。
特に1,000株単位など、株数が多い取引をする場合、この「1円切り上げの節税術」は非常に効果的です。数十円のコストで数百円の税金を取り戻すことができます。
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